縦割りの分業と命令を中心とするコントロールモデルにおける対人関係においては、<信頼関係>や<建設的な規範(対人関係のルール)>はあまり必要ありません。

 意思決定や重要な情報処理を上司が行う形なので、部下に仕事を割り振り、命令してそれを行わせ、統制するだけでいいからです。これはリーダーが関係性をコントロールするやり方であり、基本的に人間の間の信頼関係がなくても、仕事を回していける安全な方法ともいえます。
 
 ところが相互学習モデルでは、メンバーの一人ひとりが情報を持っており、リーダーはすべての情報処理を一人でできない事が前提になっています。そこでは、メンバーが「自発的」に必要な情報やアイディアを場に提供し、課題解決へと参画していく必要があるのです。
 しかし、これが実現するには、コントロール型に較べとても複雑な関係性が求められることになります。一つはメンバーやリーダーに対する信頼関係です。場が安全で守られていなければ、メンバーは自発的に情報やアイディアを出しません。このベースになるのが信頼関係なのです。
 これにも関連しますが、対人関係の中に<建設的な規範(対人関係のルール)>が生まれる必要もあります。仲間に協力する規範、グループの仕事を自分の仕事ととらえる規範、課題解決に協力する規範などです。