先日も、神戸大の金井先生の「リーダーシップ入門」についてふれましたが、この中で特に感心したのは、先生の持論と理論についての考えです。

 リーダーシップを始めとする、経営学は人間世界の法則性を探る科学です。従って、物理学のような100%の正確性を求めることは出来ません。よく出来た理論であっても、その説明力(物事が起きる確率)はよくて半々というところでしょうか。

 こうした意味で、人を大切にし、智恵とチカラをあわせるチーム経営のあり方についても同様なことがいえると思います。私たちはチーム経営研究所を立ち上げ、経験と理論から、ある程度の「持論」について作ることができます。この持論は、それを咀嚼し、自分の組織への適用を考え抜いた人にはとても有用なものになる得るでしょう。ただ、それが唯一の方法ではないし、そう主張すべきではないと思います。

 一方私たちなりの持論をより深め、使える人に提供していくのは私たちの義務だと思います。こうした持論と理論の関係を明確にしてくれた意味で、この本はとてもよい本だと思います。

リーダーシップ入門 (日経文庫)

リーダーシップ入門 (日経文庫)