人を本当に大切にしながら、智恵とチカラをあわせていくチーム経営では、そのための<場づくり>が大事です。しかし、いきなりこうした場ができるわけではありません。今日は、チーム経営の発展段階とそのために必要な場について考えて見ます。

(1)第一段階 自由で安全な守られた場

メンバーの智恵とチカラをあわせるためには、共有された目標に向け、メンバーが自分で考え、行動し、アイディアを出すことができなければなりません。
しかしこのためには、ある程度自律的な行動や発言によって、メンバーが攻撃・批判・悪い評価を受けないことが前提となります。つまり、ここでは自分が受け入れられ、本音が言える、従って智恵もチカラも、自由に出してよいのだとメンバーが確信しなければ、チーム経営の<場>は生まれないのです。

さらに、場の目標や権威についても、疑問がある場合に自由に発言できるようになれば、目標を自分のものとして統合しやすくなりますし、権威を恐れて、自律的に動けないという事態もなくなります。

(2)第二段階 方向性とそこに向かう方法が共有された場
(ビジョン、目的、目標、作業目標とそこに到達するための方法)

  メンバーが智恵とチカラをあわせるには、どちらの方向に向けてチカラをあわせていくのかが共有されていなければなりません。特に(1)の自由で守られた場ができてくると、メンバーの自律性が高まってきます。
この際、メンバーの行動をまとめ、組織目標に向かわせるためにも、メンバー間で方向性の共有がなされなければなりません。最もよいのは、自由で守られた場でのメンバー間の話し合いで、本音がぶつけられ、その中から方向性が共有されていくケースです。こうなると、チームへと成長する第二段階がクリアできたと言えると思います。

これは組織全体のビジョンから始まり、組織全体の目的、全社的戦略目標、経営計画、各グループの予算や目標、そしてその目標達成のための作業目標に至るまで、すべてのレベルで言えます。例えば組織全体の戦略目標やビジョンが、自由な話し合いの中で生まれ、明確に共有されれば、部門間の協力は容易になります。
 次に、目標が共有化されても、そこにどのように向かっていくかの方法が共有されていないと、やはり智恵とチカラをあわせることはできません。共有化された目標と共有化された方法があって、初めて私たちは智恵とチカラをあわせられるのです。

(3)第三段階 やりがいと責任感を感じる場

  上記の2つはチーム経営の最低限の条件と言えるでしょう。しかし、より創造的に課題を解決し、組織成果に結び付けていくためには、これだけでは十分ではありません。共有された目標に向け、メンバーが智恵とチカラを出すのにやりがいを感じ、さらに言えば責任を感じる<場>を構築していく必要があるのです。

  これは前述の4つの懸念の社会的統制懸念に関係しています。目標やそこに向かう方法を、またその中で出てくるさまざまな課題を、メンバーが責任を分かち合って解決していく<場>が生まれると、メンバーは相互信頼、相互依存、相互責任を感じるようになっていきます。逆に役割や権限が固定化されていると、無関心、リーダーへの依存が起きてしまいます。