<昨日に続く>

 この際、もし、このメンバーが勇気を出して、今まで隠してきた、自分の感じていることを、他者に伝えたとしましょう。これは、伝える側の自己開示と呼ばれます。
一方、伝えられた側は、フィードバックを受けたという言い方をします。これは、自分の気がついていない「見えない自己」の領域にある情報を、他の人から知らせてもらう働きです。
 こうしたフィードバックを受け止めることができれば、私たちは、自らの現状の姿を知ることができます。つまり、自分には見えなかった「見えない自己」を知り、「開かれた自己」へと変容していけます。このように現状を直視することで、私たちはよりよい自己の行動のあり方を模索できます。先ほどの例で言えば、他のメンバーも、「決め方が雑になっている」ことに気づき、それが修正可能になるわけです。

 このようにメンバー間で、自己開示とフィードバックが自由に行われるようになると、各メンバーの開かれた自己の領域が拡大していきます。これはグループの目的を阻害している自分や他者の行動について、自由にフィードバックし合える関係が生まれたことを意味しています。
 このため、グループの有効性は高まっていくと考えられるのです。つまり、グループが真に有効であるためには、感情や否定的内容を伝えられる、深いコミュニケーションが可能でなければならないのです。