深いコミュニケーションを理解するには、ジョーゼフ・ラフトとハリー・インガムが提唱した、対人関係における図解式モデル<ジョハリの窓>が役に立ちます。

 
 この図式によると私たちには、「私にも他人にもわかっている「私」=開かれた自己」、「私にわかっていないが、他人にはわかる「私」=見えない自己」、「私にはわかっているが、他人には隠している「私」=「隠された自己」、「私にも、他人にもわからない「私」=知らない自己」の4つの領域が存在します。

 例えば、「私は怒っていない!」と唇を震わせながら発言するメンバーがいたとしましょう。周りの人には、その人が怒っていることは見えるのですが、本人には見えていません。つまりこのデータは本人には「見えない自己」の領域にあるのです。通常のコミュニケーションでは、相手の面子などを考慮して、他のメンバーもその情報を隠し、本人に伝えないことが普通でしょう。つまり「隠された自己」の領域にあるわけです。

 例えばメンバーが「最近の物事の決め方が雑になっている」と感じているとします。その情報を隠し(隠された自己の領域)た場合、他者にとっては、その情報が見えません。つまり決め方が雑になっていることに、気づいていない(見えない自己の領域)のです。

参考資料 

人間関係トレーニング―私を育てる教育への人間学的アプローチ

人間関係トレーニング―私を育てる教育への人間学的アプローチ