あらゆる不確実性の中にある1つの永遠の準拠枠として、教育と個人的経験の間にみられる有機的関連がある。つまり真実の教育はすべて、経験をとおして生じるという信念である。しかし、すべての経験が本当に教育的なもので、同等であるということではない。教育的でない経験もいくらでもある

経験と教育 (講談社学術文庫)

経験と教育 (講談社学術文庫)

●例えばさらなる成長をゆがめる経験、感受性を欠如させる経験、凝り固まった言動を生み出す経験、怠惰で軽率な態度の形成を促す経験、経験同士が結びつかない経験などである。伝統的教育の欠点は上記の経験を多く生み出したことである。つまり経験の重要性を強調しただけでは十分ではなく、もたれる経験の質にかかっている

●具体的には経験がその後の経験に、どのように影響を及ぼすかである。つまりその経験が未来により望ましい経験をもたらすことができるように促すような質の経験を整えることが教育者に課せられた仕事なのだ。

●そしてあらゆる経験は、願望・意志とは無関係に、引き続き起こってくるさらなる経験の中に生きる。経験に根ざした教育の中心的課題は、継続して起こる経験の中で、実り豊かに創造的に生きるような種類の現在の経験を選択することにかかっている。これが「経験の連続性の原理」である。

●教育の哲学とは、なされなければならないことは何か、それはいかにしてなされなければならないかの枠づけである。伝統的学校は慣習、既存の型でやってこられたので、哲学は不要だったが、進歩主義的学校は切実に経験の哲学に基づいた教育の哲学が必要となる。
これは「経験の、経験による、経験のための学校」だ。