わたしがラボラトリー・トレーニングにかかわるうちに、大切なものと感じるようになったものに「平和の祈り」がある。これは鳥に説教したことで有名なカトリックの聖人、アッシジのフランチェスコが作ったものと言われている。とても美しい詩でもあるので渡辺和子の訳を紹介したい。

 主よ、わたしをあなたの平和の道具にしてください。
 憎しみのあるところに愛をもたらす人にしてください。
   争いのあるところにゆるしを
   分裂のあるところに一致を
   疑いのあるところに信頼を
   あやまりのあるところに真理を
   絶望のあるところに希望を
   悲しみのあるところに喜びを
   闇のあるところに光を

   慰められることよりも慰めることに
   理解されることよりも理解することに
   愛されることよりも愛することに喜びを見いだす人にしてください。

 ラボラトリー・トレーニングでは、「いまここ」で起こってくることに気づき、それを大切に他者とかかわることが求められる。つまりいまここのわたしを生きること、さらにいまここであなたとともに生きることをトレーニングするといっていいと思う。

 わたしはここ数年、沖縄の修道院で行われる4泊5日のラボラトリー・トレーニングにかかわっているが、ある年全部のプログラムが終わり、礼拝堂で祈りを捧げていた時、この「いまここ」を生きることが、「平和の祈り」と深くかかわっていることに気づいたのである。