ファシリテーションがうまく行われるようになった第一段階で、おちいりやすい罠があります。

 それは、一人ひとりの意見をきちんと聞き、大事にしようとするあまり、知識・スキルのないメンバーの意見も大事にしすぎて、意思決定の質が落ちるのです。これは特に、高い目標を掲げず、時間的制約も持たない団体の場合陥りがちです。

 こうした場合、課題の整理整頓を進め、優先的に処理すべき課題と、その目標、制約時間を明確にしておくとよいでしょう。そしてその時間内で相互学習型の話し合いをファシリテーションスキルを使って話してもらうのです。

 もう一つは、意志決定の方法をコンセンサスがダメなら、協議型(リーダーが決める)にしておき、リーダーは話し合いの中で自分の腹案を持っておくことです。それで話し合いが自分の案よりも良い結果を生み出したとき、それを採用するようにすればよいでしょう。もちろんこうしたことを最初にメンバーが合意しておく必要はありますが。

 このように意思決定の質が高まり、初めてメンバーは「真剣」にファシリテーションに取り組むようになります。