チーム経営の実現には、リーダーが自分の気持ちに気づき、上手に対処する事が必要となります。

 一方的コントロールモデルでは、メンバーは自分の考えの通りに指示に従い、動いてくれました。しかし、チーム経営の<場>が成長してくると、メンバーは、自分で考え行動するようになり、リーダーの考えとは異なる言動をとる場合も増えてきます。
 また、場の成長の過程で、これまでは黙って蓋をしていた現状への不満、リーダーへの否定的想いなどが、自由で守られた場の中で、表面化することもあります。これはリーダーにとっては、自分に対する挑戦ととらえられることがあります。
  このような中で、リーダーの中には、変化に対する恐怖、コントロールが出来なくなるのではという不安、自分を否定されたような悲しい思い、もしくはそれらをもたらす状況への戦闘的な感情が湧いてくるかもしれません。

 こうした感情にリーダーはどう対処すればよいのでしょうか?一般的に感情の取り扱いかたには3つにパターンがあります。

①自分の感情を抑圧するパターン<受身の表現パターン>
自分の中に起こっている感情を否定したり、その感情を回避したり、自分の体調が悪いなどと合理化したり、相手との関係を避けて自分の中に引きこもってしなうパターン

②感情に支配されるパターン<攻撃的な表現パターン>
突発的な感情の爆発で、過剰で過敏な行動をとってしまったり、相手が悪いなどと他人のせいにするパターン。そうなった状況や出来事を考え込んでしまうパターン。

③感情をコントロールするパターン<自他を尊重した主体的パターン>
自分が持った感情を確認し、ありのまま受け入れ、自分の置かれている状況の中で、どのように表現したり行動したりするのが、自分にとって正直であるか、また周囲の人にとっても分かりやすいかを判断して、表現や行動を選択するパターン

 上記①②は、チーム経営の場づくりには悪影響があるでしょう。①は、リーダーの自己一致を損ない、メンバーとの信頼を損なうでしょう。②は例えば何か一つのきっかけでメンバーを叱り飛ばしたりするパターンで、再びコントロールモデルに逆戻りするかもしれません。
 従って望ましいのは③ですが、これを可能にするために次の5つの段階を意識することが重要です。

一)感情を意識化する
 今の自分の中に起こっている感情や気持ちに注意してみる
二)感情や気持ちに名称をつける
 うれしいとか、悲しいとかの名称をつけることによって、自分の感情が明確になる
三)感情の要因や背景を考えてみる
 どのようにして、その感情を持つようになったかを確かめることで、自分の感情に自分で責任を持てるようになる
四)感情を抑えない
 よい悪いで判断しないで、自分の中に起こっている感情をありのままに受け入れる
五)感情の取り扱い方を考える
 自分の感情のよい悪いは、感情の取り扱い方で決まってくるので、自分の感情や気持ちをどのように表現するか、行動するかを考える

 出所 長尾文雄先生の資料より

 チーム経営を進めるリーダーにとっては、まず、チーム経営の進展に従って、リーダーには、こうした感情が湧いてくることを知っていること、そしてそれが、決して悪いことではなく、むしろ必要なことであることをあらかじめ知っておく事が重要だと思います。