冷泉彰彦さんの「関係の空気」「場の空気」を読みました。日本語の敬語表現がこれからより必要となるという議論は少し脇におくとして、とてもおもしろい洞察がそこにあると思います。

 特にファシリテーターにとって重要だと思わされたのが、「関係の空気」(一対一の会話における空気)と「場の空気」(3人以上の場における空気)の違いです。日本語が、ことばだけではなく、その言葉を解釈する文脈(その奥に人びとが共有するある種の前提=コンテクスト)によって伝わる言語であることはよく知られています。

 「関係の空気」(一対一の会話における空気)においては、例えば省略表現などは、コンテクストを共有する=親しさの表現として捉えることができます。しかし「場の空気」(3人以上の場における空気)でこうした省略表現が使われると、そのコンテクストを共有できない人がでてきます。例えば外国帰り、育児休暇上がりの人びとなどです。こうしたコンテクストを共有できない人は、親密さの輪の中からはずされ、最終的に排除されたり、いじめられたりします。

 冷泉彰彦さんは、これを防ぐため、「敬語」をきちんと使うことでみなが理解できる文脈を保つことを提唱します。
 私はここにファシリテーターの出番があると思えます。ファシリテーターが「それって、どういう意味?」などとボケることで、場に本当の意味が伝わりやすくなることはよくあります。これは「場の空気」をメンバーで共有するということに他ならないように思えるのです。

「関係の空気」 「場の空気」 (講談社現代新書)

「関係の空気」 「場の空気」 (講談社現代新書)

PS 澤田製作所の澤田社長のブログにチーム経営の記事を見つけました。嬉しいですね。http://sawada.keikai.topblog.jp/blog/109/10003437.html