ある経営者の講演を聴く機会がありました。自分と人を大切にするかかわりづくりのヒントになりそうなので考えてみたいと思います。

私が理解できた範囲でこの方のお話は次のような内容が含まれていました。

1、他者から見られて恥ずかしくないようにすること
 ・服装などお金を惜しんで恥をかかないようにせよ
 ・契約書を結ぶ時に100円のボールペンを使わない
 ・和室で会食する時などの作法を覚える

2、お金の流れを理解できるようになれ
 ・資金の流れと利益を区分けすること
 ・銀行を大切にすること

そのためには、経営計画を立て、それを実現することが必要である。従って経営計画は一人ひとりが何をすべきかが明確に理解できるように作る必要があるし、それが実行されているかを厳しくチェックする事が大事である。

そしてここからが人のマネジメントになりますが、

 ・鬼を飼う必要がある

織田信長が、命令を守らなかった兵卒を切り捨て、皆が従うようになったように経営者は部下の「やろうと思っていた」(やっていない)を許してはならない。また重役に対しては椅子取りゲームをさせる必要があり、いつでも誰を外してやろうかと考えている。こうした緊張感が必要である。

 ・サラリーマンの話を聞いてはならない

経営者と雇われているサラリーマンでは立場が違うので、その話を聞いてはならない。聴くのは同じ立場の成功者の話だけにせよ。

 上にまとめたことは、私にいろいろな感じを引き起こしています。

・まずこの経営者の方の考えややっていることは、「企業を経営し発展させる」という観点からは間違っていないし、必要なことだと感じます。会社を倒産させないように資金を回す観点から、本当に大事なことと思うのです。

・また「鬼を飼う」という視点も大事だと思います。人を大切にするかかわりを意識すると、どうしても「なれあい」が生じることがあります。リーダーはこうした時、ある意味でメンバーにとって鬼に見える行動をとる必要があるような気がしています。

・また一方で、聴いた範囲に限ってみて、ここで働く人は、自分が大切にされていると感じられているのだろうかと疑問を感じました。自分を使い捨てにされるモノや道具のように感じてしまうことはないだろうかと心配にもなりました。

もしこの会社が「自分も人も大切にする組織」を目指すとしたら何が必要なのでしょうか?例えば私自身がその会社を死に場所として力を尽くせるとしたら・・で考えてみます。

・まず「何のために」会社があるのか、それはどんな意味で「人を大切にする」貢献をしているのかが明確である

もしこの会社が、今の時代に真に人を大切にするための製品やサービスを提供しているなら、「鬼を飼うこと」「経営計画を立て必達すること」は人を大切にすることを促進することになるでしょう。それをしないのは人を大切にしないということになるでしょう。

・「何のために」仕事をするのかという点で、同志になる

経営者と従業員という雇用関係では決して超えられないけれど、経営者と働く人、さらには外部の人達も含めて、「何のために」仕事をするのかという点で同志になることは可能であると思います。これが人を巻き込み課題解決することにつながります。

・「何のために」に向けて奉仕する人を育てる

また働く人を「何のために」に向けて自律的に奉仕する人に育てる必要もあると思います。切り捨てるのではなく、育てる。一時は降格してもまた機会を与える。

こんな場所なら死に場所になり得るのではないでしょうか。