なぜ「感じたままを伝える人間関係」が重要か、カール・ロジャース「エンカウンター・グループ」の言葉より抜粋してみた。

 彼によると、現代ほど個人が深い孤独・孤立に陥っている時代はない。その1つの要因が<あるがままの私は愛されない>、すなわち真実の自己、内的自己、他人から隠している自己はだれからも愛されないと確信しているからだ。

 これは、子どものころの真実な態度が大人から叱責されたことに基づいている。こうして多くの人の人生の一部になってしまっている深い個人の孤独は、他人に真実の自己を示す勇気を持たない限り改善されない。

 つまり安全な空間の中で、武装を解いて防衛せず、弱点・欠点を持ち、過ちを繰り返し、無知であり、偏見を持つ、状況に合わない感情を持つ「私」を受け容れ、相手に示す冒険をしてみることだ。つまり本当に感じた自分をそのまま伝えることである。

 しかしエンカウンター・グループの中では、グループのメンバーが仮面より真実の「私」に好意を持つことが多い。自分が、そのままで尊敬と愛に値する人間であると実感できる体験、つまり自他の真実の自己がお互いに触れ合う体験となる。

 こうしてみると人間関係とは仲良くなることでなく、真の自己をさらし受け入れる中から生まれるベースとしてのつながりに支えられるものかもしれない。