今日、ある取引先の社長さんから「何でもいえる」ようになると起きる逆機能についての質問を受けました。これはチーム経営を進める上でとても重要な点なので、書いておきたいと思います。


質問

 (何でも言えるようになると)「徐々に、(メンバーが)積極的になんでも要望を言うことになるため、逆にこれが繰り返されることで、徐々に「会社に要望をたくさん伝えている。」という認識になります。そして、この「要望」に対して、会社が何も反応していなくなると、「会社にはたくさん要望を伝えているのに、何も応えてくれない。何をいっても意味が無いので、黙っておこう」というような反応に換わってくることになります。一度こうなると、最初にクリアしたことよりもより一層積極参加が難しくなるため、できればこういう事態はさけていきたいと思っています。」

回答

 確かに、「何でも言える」状況になると、いろいろな要求、要望が生まれやすくなってきます。こうした際、権限保有者が、あわてて否定的発言を封じたり、一方的に決定をしたり、議案や目標を押し付けたりすると、会議は自由さを失い、再び活力をなくす。可能性があります。

 そして、この時、理解が必要なのは、個人の要望、欲求には3つあるということです。一つは、会社や部門、自分の「課題を達成したいという欲求」で、これが満たされると達成感が得られます。これは会社にとっても大事な要求ですね。
 次は会社、部門、グループの「人間関係をよりよく維持したい」という欲求です。これもまた会社の中での雰囲気作りなどに役立ち、最終的に成果に反映されます。(リーダーシップでいうPM理論ですね。)
 上記2つの欲求は組織として望ましいのですが、注意が必要なのは、「個人的欲求」です。さぼりたい欲求、あくなき金銭欲など組織成果の達成に関係ない欲求がこれに当たります。

 「なんでもいえる」ことは大事なのですが、これが、「個人的欲求」を無制限に引き出すのでは、組織は混乱してしまいます。この最重要なのは、グループに建設的な規範(ルール)を設定することです。

 これにはいくつかの方法があります。例えば「相互学習型会議」の枠組みの中で、目標が明確に決まっている中で「何でも言える」ようにする方法があります。また、もっと日常的にまで「何でも言える」方向性をとるなら、まず組織の方向性(目的、方針、価値観・・)などを明確にし、共有して、「その方向性になったことなら何でも言える」ようにすることです。

 組織の中で「経営を良くするために」何でも言い合おうという規範を作るため、事あるごとに訴え、また仕組みとしても整備していく必要がありますね。