ファシリテーターのスキルとして最も重要なのは「場を感じる」ことです。しかし、一体場とは何なのでしょう?それはグループの中にあるプロセスと考えられます。

 私たちは、何かのグループ作業をしているとき、内容(話し合いの中身、作業内容)のほかにそれをどのように行っているかのプロセスが生じます。このプロセス次第で、作業の創造性、効率性は決定されるのです。それは具体的には次の項目からなります。これらがいまここでどのように動いているかを感じ取り、それを促進するのがファシリテーションなのです。

(1)メンバーシップ(参加度)
 ・メンバーはグループ活動にどの程度関心があるのか。
 ・参加・没入の度合い、満足度。また、それらの変化
  →メンバーの姿勢、声の調子、表情などから、推測
(2)メンバーの感情
 ・メンバー一人ひとりの思いや気持ちが表現されているか。
 ・お互いに他のメンバーの思いや気持ちを受け取ろうとしているか。
(3)コミュニケーション
 メンバーは率直に、話し合えているか、相手の話を聴けているか
 →・メンバーの発言の仕方 ・発言の偏り
 ・メンバーの聞き方 よく聞いているか、途中でさえぎっていないか
 ・誰が誰に話しかけているか ・沈黙の受け取られ方

(4)目標
 ・全体の目標、いま取り組んでいる作業の目標が共有されているか
 ・具体的な目標の明確化や共有化がなされているか。
(5)時間管理
 ・メンバーは時間のことを気にかけているか。
 ・誰がどのように時間を管理しているか。
(6)組織化=仕事の手順の明確化と役割分担
 ・仕事の進め方・手続きなどが明らかにされているか。みんなに共有されているか。
 ・メンバーに役割が分担されているか。

(7)意思決定のしかた 
 ?だれが? リーダー、少数者
 ?意思決定の種類 ・独裁型 ・多数決 ・協議型(相談しリーダーが決める) ・みなが納得する合意形成(コンセンサス)
 ?どのように ・違いを明確にして、それを尊重しながら決定
          ・どれほど時間を掛けているか
(8)グループの規範(ノーム)
 ・「してはいけない」こと   ・変に遠慮をする  ・安易な合意
 ・「ここでは自由に話しても許される」「積極的な意見を言うと役を押し付けられる」などという了解
 ・不一致や葛藤が起こったときにどのように取り扱われているか。
(9)グループの雰囲気
・ 開放的、閉鎖的。暖かい、冷たい。友好的、挑発的。協調的、対立的。
 なれあい、緊張。防衛的、支持的、開放的。

(10)上記を動かすメンバーの動き
<課題達成に関するもの(Performance)>
?新たに始める。発議する。口火をきる。 ?情報、意見を提供する。 
?情報、意見を求める。 ?目標達成に向け圧力をかける
?明確化したり、吟味したり、解釈したり、判断したりする。
?同意をとりつけたり、意見の一致の度合いをたしかめたりする。
<グループの維持に関するもの(Maintenance)>
?暖かく励ましたり、支持したりする。
?雰囲気をつくる。気持ちを表明する。他の人の気持ちを確かめる。
?緊張をほぐしたり、調和をはかったりする。   
?調整役を引き受ける。
?観察して、それをフィードバックする。
 →この二つの役割が調和をもって整えられると、グループの活動は
   生産性が高く、また楽しくて生き生きしたものになります。

参考資料