昨日は大阪YMCA国際専門学校表現コミュニケーション学科10周年記念式典がありました。愛称として「表コミ」と呼ばれています。

 この学校は多様な不登校児を受け容れる高校で、私は1年目から関わり、スタッフの会議などに入れてもらってチーム作りを支援してきました。卒業生や新成人などによるスピーチは、その子たちがこの場で大切にされるなかで成長してきた軌跡を述べるもので、本当に感動しました。

 例えば表コミでは月一回スタッフが「表コミを知恵とチカラを合わせて運営する」会議をしていますが、そこで始まりのときに一人一言近況を言い合う「チェックイン」の時間を設けています。毎回笑ったり、時には泣いたりできる場で、その人となりを理解できる楽しみな時間となっています。

 仲がよく、互いに助け合いながら、でも馴れ合いにならない。いつも生徒に最もよくするためにどうしたらよいかを考えながら、失敗や問題意識を出し合い、率直に話し合って問題を乗り越えていく。その中で、スタッフもチームも成長していく姿を何回も見てきました。

 そして表コミには、このスタッフとチームの成長が、そのままスタッフひとり一人の生徒へのかかわりに反映し、生徒の成長につながる好循環が存在しているように感じます。ここには、働くスタッフも生徒も皆が幸せになる「人が大切にされるサイクル」が働いています。

 しかしこうしたチームワークははじめからあったわけではありません。私は表コミの1年目からかかわっていますが、最初はスタッフが意見をあまり言えないこともありました。リーダーが一方的に決定を押し付けてしまうこともありましたし、意見の違いを乗り越えられず声の大きい人に雷同してしまうこともありました。

 相互に信頼でき、支援しあう中で、葛藤を乗り越え、生徒のために最高の仕事ができるチームというのは、それほど簡単にできるものではないのです。ですから私は、今後もこうしたチームを当たり前と思わず、どれほど重要かを理解し、維持する努力をしていく必要があると感じています。

 ところでこの式典の中で、ふと知っている顔を見かけ、話しかけたくなったのですが、次の予定が迫っていたことや、彼も他の人と話したいだろうなどと勝手に思ってしまい、話しかけずに帰ってきました。

 しかしこれは「自分の中にいまここで起こったこと」を大切にしていないことだなと気づきました。私にはこうした癖があるので、これからはもっとこうしたいまここの想いに素直になれるといいなと感じました。

体験と学びの会 代表 博野英二 
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