ビジョン、経営理念、経営方針の共有

チーム経営を行い、皆の知恵とチカラを合わせていく上で、ビジョンの共有は不可欠の作業です。

 ビジョナリーカンパニーやザ・ビジョンなど、有名どころの本から協働プロセス豆知識としてまとめてみましたのでご利用ください。

<協働プロセス豆知識 組織の理念、目的、ビジョンとその共有について>

1、言葉の定義 「ザ・ビジョン」 ケン・ブランチャード
 ビジョン=有意義な目的+明確な価値観+未来のイメージ
(経営理念=組織の目的+経営のやり方と人々の行動についての基本的考え方)
 
2、ビジョンの要素1 有意義な目的
(1)目的=単なる金もうけを超えた会社の根本的な存在理由。地平線の上に永遠に輝き続ける道しるべとなる星であり、個々の目標や事業戦略と混同してはならない
例 メルク 「生活の質を維持・向上させるような、すぐれた製品・サービスを社会に提供」「薬は人のためにあることを、われわれは決して忘れない。薬は利益を上げるためのものではなく、利益はあとからついてくるものだ」
(2)目的の要素
・組織の存在意義である
・単に事業の内容を述べた者ではなく、「なぜ」という問いに答えるものである
・顧客の視点に立って、その組織の「真の使命」を明らかにしたものである。
・偉大な組織は深遠で崇高な「目的」、すなわち社員の意欲をかきたて、やる気を起こさせるような「有意義な目的」を持っている
・表面的な言葉遣いより、そこから人々に伝わる「意味」のほうが重要である

<例 あなたは何をしてますか?>
レンガを積んでいます、時給二ドルで働いています、大聖堂を建てています
・だれか一人が考えるより、みんなで考えた方がよい

3、ビジョンの要素2 明確な価値観
(1)価値観とは
 基本的価値観=組織にとって不可欠で不変の主義。いくつかの一般的な指導原理からなり、文化や経営方法と混同してはならず、利益の追求や目先の事情のために曲げてはならない。(健全な信念を守り抜く)=ほとんどが5つ以下、企業の内部にある要素、何かで正当化する必要なし、環境が変化しても変わることはない。
例 メルク
・私たちは最大級の倫理と誠意を目指します
・私たちは最高度の科学的業績を目指し、人間と動物の健康および生活の質の向上に寄与する研究に取り組みます(顧客ニーズに全力で応える)
・私たちは収益をあげることもめざしますが、それは顧客のニーズに応え、人類に貢献するような仕事から得られる収益でなければなりません
・すぐれた企業になること、すなわち社会と顧客のニーズに誰よりも効率的に応えられるかどうかは、従業員の誠意、知識、想像力、技能、多様性、そしてチームワークにかかっています。
(2)価値観の要素
・価値観とは、目的を達成する過程で、どう行動していくべきかを示す、ゆるやかなガイドラインである
・価値観とは、「自分は何を基準にして、どのように生きていくか」という問いに答えるものである。
・価値観の内容を具体的に明らかにしない限り、どんな行動をとれば価値観を実践できるかはわからない
・つねに行動を伴うものでなければ、価値観は単なる願望にしかならない
・メンバー一人ひとりの価値観と組織の価値観を一致させなければならない
(3)注意点
 5つ以上あると多すぎ。「状況が変わって、この基本的価値観のために業績が落ち込むようなことがあっても、それを守り抜こうとするだろうか?」→イエスでなければ削除

3、ビジョンの要素3 未来のイメージ
(1)「未来のイメージ」
数年後の最終結果のイメージ。あいまいではなくはっきりと思い描けるイメージである
(2)注意点
・なくしたいものではなく、手に入れたいもの(作り出したいもの)に集中すると、イメージの力はますます効果を発揮する 例 ダイエット
・最終結果に到達するプロセスではなく、最終結果そのものに焦点を置く

4、ビジョン共有の方法
(1)リーダーが、自分が本気で信じられる目的・価値観などを明確にする
・もしくは、会社の「遺伝コード」=会社の精神を代表する人たちを選んで明確化
(2)自分のビジョンをみんなに話して、彼らの考えや感想に耳を傾ける
・全社的なビジョンの議論を展開=望ましい未来像の総意
・現実をとことん直視し、将来の夢や希望を語り合う
(3)ビジョンに盛り込まれる膨大な情報を、ひとつのスローガンで表現する
例 リッツカールトン 私たちは紳士淑女に奉仕する紳士淑女である
(4)ビジョンについて、絶えずそれについて話し合っていく機会を持つ
(5)目先の現象・具体的行動をビジョンとの関係で明らかにする
(6)ビジョンを一貫して実行する「構造」(戦略、組織機構、管理システム)を作る
(7)あらゆる瞬間にビジョンを実践する=「めざすべき目標は決まった。そこに至るルートも決まった。でも本当に大切なのはいま、この瞬間に踏みしめている一歩」