いまエリクソンの青年ルターを読んでいます。

青年ルター〈1〉

青年ルター〈1〉

エリクソンの考え方の重要なものの1つに、個人がその深い内面的葛藤を克服するための闘いが、その時代に共通する矛盾や葛藤を乗り越えるエネルギーとなることがあります。これを体現するのが、歴史を動かすアイデンティティを提示する偉人たちです。エリクソンはその例としてガンジー、ルターを取り上げ、その前半生を分析する本を書いたのです。

私が感銘を受けたのは、一人ひとりの内面と歴史の動きが連動しているという指摘であり、しかもあたかも内面的な弱さととらえられがちな葛藤の存在、しかもそれを深く感じ取り生きている人、つまり今の社会にそのまま適応できにくい人が、はじめて社会を変革する新たなアイデンティティを提示することができるということでした。

しかしこれらの本をみると、総じてこうした偉人には、表面的な意味での心の安心、知足というものはないようで、私だったら嫌かなとも思います。でも最近こうした葛藤や矛盾があっても、それが起きるままに起きることを受け入れることが「心の平和」なのかもしれないと感じてもいます。